どうして原油価格が上がると工事費用が高くなるの?

原油価格が上がると、なぜ工事費用まで上がるのか

ニュースで「原油価格が上昇しています」と聞くと、ガソリン代の話かなと思う人は多いかもしれません。たしかに一番わかりやすい影響はガソリンや軽油の値上がりですが、実際にはそれだけではありません。原油価格の上昇は、工事で使う材料や配送、製造コストにもじわじわ影響して、最終的に工事費用全体を押し上げることがあります。

僕の住む地域でも駅の再開発で立派なビルが建つ予定だったものが、原油はじめ物価高の影響で予定より階数が低くなるなんていうニュースも聞きます。公共工事の費用が予算では間に合わなくなったという話も聞きますよね。

工事費用というと、人件費や職人さんの手間が大きいイメージがありますが、現場では材料、運搬、加工、道具、消耗品など、いろいろな費用が積み重なって成り立っています。その土台のあちこちに原油が関わっているため、原油価格が動くと、結果として工事の見積もりにも影響が出やすくなるのです。

まず大きいのが輸送費です

原油価格が上がると、トラックの燃料である軽油代も上がりやすくなります。そうなると、建材や資材を運ぶための配送コストが増えます。石こうボード、軽天材、合板、接着剤、ビス、養生材など、現場で使うものはほとんどがどこかから運ばれてきます。材料そのものが同じ値段だったとしても、運ぶための費用が上がれば、その分はどこかで価格に反映されます。

特に建材は、ひとつひとつは小さく見えても、量が多くて重いものが少なくありません。現場に一度で全部入るとは限らず、複数回の搬入が必要になることもあります。そうなると、燃料費の上昇はじわっと効いてきます。普段は見えにくい部分ですが、配送費は現場の裏側で確実に動いているコストです。

工事にかかわらない方も、通信販売などで、送料無料のサービスが減ったり、送料が高くなったなと感じることありませんか?現場で使う資材も同様でメーカーさんから運んでもらうにしても安く売っているお店を探して通販で仕入れようとしても送料が・・・高いんです。

特に僕の会社は北海道にあるので余計にそれを感じることが多いのかもしれません。古い建物の珍しい部品などは1個だけで注文することが多いのですが、そんな時は部品代より配送料の方が高いということがほとんどです。

材料そのものにも原油が関係しています

もうひとつ大きいのが、材料の原料や製造工程への影響です。工事で使う材料の中には、原油由来のものがかなりあります。たとえば、プラスチック製品、ビニール系の材料、樹脂、接着剤、シーリング材、梱包材などは、原油と深く関わっています。直接「石油製品」と意識していなくても、身の回りの建材には意外と多く使われています。

さらに、鉄やアルミなど原油そのものが原料ではない材料でも、製造や加工の段階でエネルギーを使います。工場を動かすための燃料、製品を加工するための熱、完成品を運ぶための物流。そうした流れのどこかでコストが上がれば、最終的には製品価格に反映されやすくなります。つまり、原油価格の上昇は、石油系材料だけの話では終わらないということです。

現場では「全部が少しずつ上がる」がいちばん重いです

実際に工事の現場で厄介なのは、何かひとつだけが極端に上がることよりも、いろいろなものが少しずつ上がることです。ビスが少し高い、接着剤も上がった、配送費も上がった、下地材も前より高い。ひとつひとつは小さく見えても、工事全体で見ると無視できない差になります。

見積もりを作る側からすると、この「じわじわ上がる感じ」はとても神経を使います。以前の感覚で材料費を見ていると、あとで仕入れ価格が思ったより上がっていて、利益がかなり圧迫されることもあります。特に、見積もりを出してから実際の着工まで時間が空く案件では、その間に価格が変わることもあるため注意が必要です。僕の会社もそうですが、多くの建築会社さんで見積の有効期限を設けているのはこういった理由からです。

小さな工事でも無関係ではありません

「大きな建築現場なら影響がありそうだけど、小規模な内装工事にはそこまで関係ないのでは」と思われることもあります。でも実際は、規模が小さくても無関係ではありません。むしろ小さな工事ほど、材料ひとつや搬入ひとつの変化が見積もり全体に効いてくることもあります。

たとえば、ちょっとした補修や一部の張り替えでも、材料を取り寄せる、現場まで運ぶ、施工に必要な副資材を用意するという流れは変わりません。表に見えるのは「この部分を直す工事」でも、その裏では多くのコストが動いています。原油価格が上がると、それらが少しずつ押し上げられて、最終的に工事費にも反映されやすくなるわけです。

体感としては、材料価格の変動で実感しやすいです

現場に近い感覚でいうと、「原油価格が上がったから今日から一気に工事費が跳ねる」というより、仕入れ価格や副資材の値上がりで少しずつ実感することが多いです。僕が一番あ、来たなと思うのは妻からの「〇〇さん(仕入れ業者さんやメーカーさん)から4月から値段が上がるってファックス来てたよ」の報告です。最初は一部の材料だけでも、時間がたつと別のものも上がってきて、気づけば見積もり全体に影響していたという流れは珍しくありません。特に戦争だとかで長期間原油価格が上がりそうだなという時はニュースを見た時点で数か月後にはお客様に値段を上げる交渉をしなくてはならないかなと覚悟します。

実際、以前と同じような工事内容なのに、材料の単価や運搬費が変わっていて、前回の価格感覚のままでは合わないと感じることがあります。現場では、施工の手間だけでなく、こうした外部要因も見ながら金額を組み立てる必要があるので、価格の説明が以前より難しくなったと感じることもあります。僕のように賃貸アパートやマンションの営繕工事を請け負っている方はわかる!と思ってもらえるのではないかと思います。

賃貸物件というのは、定期的に人が退去し、修繕工事が発生します。その多くは建物のオーナー様が費用を負担しています。 

たとえば101号室の修繕工事を3か月前に行い、今度は202号室が退去したので修繕工事を行うという時に、その間に仕入れ価格が変わっていれば「えー?前はこの工事もっと安かったでしょ?」とオーナー様からしたら思うのは当然だと思います。定期的に工事のご依頼をいただくお客様には事前にお知らせしているのですが、間に管理会社さんが入っていたりするとオーナー様に伝わっていないという事もあり、頭を抱えます。

そういった場合は、次回工事の時にはお値段変わってしまいます。とお伝えして1回のみ前回と同じ価格で頑張るという事も・・・あります。

便乗値上げじゃないの?なんて言われてしまうこともあります。そう思うのも無理はないと感じますね、これだけなんでも値段が上がってしまうと・・・。でも丁寧に説明すればお客様はわかってくださることがほとんどです。

だからこそ、見積もりには時期の要素も入ってきます

工事費用は、単純に「この工事ならいつでも同じ金額」ではない場合があります。もちろん施工内容が同じなら大きくは変わらないこともありますが、材料価格や物流コストが動いている時期は、見積もり金額にも差が出やすくなります。原油価格の変動は、その背景にあるひとつの大きな要素です。

そのため、工事を検討している側としても、「前に聞いた金額と違う」と感じたときは、単なる値上げではなく、材料や運搬などの実費部分が変わっている可能性があります。特に最近は、価格改定のお知らせが増えることもあり、見積もりの有効期限が以前より重要になっているケースがとても多いと感じます。本当にメーカーさん、仕入先の業者さんからの価格改定のお知らせはしょっちゅうすぎて何がいつから上がるんだっけ??と混乱してしまうほどです。

まとめ

原油価格が上がると工事費用が高くなりやすいのは、燃料代だけでなく、材料の製造コスト、配送費、副資材の価格など、工事に関わるいろいろな部分に影響が出るからです。ひとつだけなら小さな変化でも、積み重なると見積もり全体を押し上げます。

工事費用は職人さんの手間だけで決まっているわけではなく、材料を用意し、運び、加工し、現場で仕上げるまでの全体で成り立っています。原油価格の上昇は、その流れ全体に少しずつ効いてくる存在です。だからこそ、工事費が前より高く感じるときには、その背景にある材料費や物流コストの変化も一緒に見ると、少し納得しやすくなるかもしれません。

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