行って来いとは?
「行って来い」は、建築現場ではいったん部材を奥まで入れてから、戻しながら所定の位置に納めるやり方を指す言葉として使われます。長い材料や、そのままでは入りにくい部材を納めるときに出てくる、現場らしい表現です。建築用語辞書や工務店の用語解説でも、所定の位置に戻して納めること、または片側を深く逃がして差し込み、戻して納める方法として説明されています。
それ以外にも単に往復(人が往復するということではなく、寸法的な向こうまで行ってこっちまで戻ってくる距離というような感じ)の意味で使われることもあります。
どういう場面で使うのか
たとえば、柱と柱の間に部材を取り付けたいのに、寸法ぴったりでそのままでは入らないことがあります。そういうときに、片側へ一度深く差し込めるよう逃がしを作り、そこへ「行って」、そこから戻して「来い」で納める、という考え方です。現場では内法材や長尺材の取り付けなどで使われることがあり、「行って来いで納める」という言い方になります。
ただの比喩ではなく、納め方のコツ
この言葉は単なる言い回しではなく、実際の納め方のコツを表しています。無理やり押し込むのではなく、入る側へ逃がしてから戻すことで、きれいに納めやすくなるわけです。うまくいけば合理的な方法ですが、別の部材を傷つけたり、作業順が悪いと納まらなかったりすることもあるため、注意が必要です。
経験の浅い人やあわてんぼうなタイプの人はうまく行って来いで納めることができず、無理やり押し込むのを防ぐためにやっているはずが結局無理くりはめようとしている・・という場面をたまに見かけます。
「行って来い階段」とは少し意味が違う
建築では「行って来い階段」という言い方もあります。これは途中で折り返して、上がってまた反対方向へ進む階段のことです。つまり、部材を納めるときの「行って来い」と、階段プランとしての「行って来い」は、同じ言葉でも使い方が少し違います。階段のほうは、折り返し階段の別名として紹介されています。
電気工事などでは長さの意味で使うこともある
なお、「行って来い」は建築以外の工事でも使われることがあります。電気工事の説明では、ある地点まで行って元の位置に戻る長さを「行って来いで何メートル」という形で表す例があります。最初に触れた往復の意味で使われるパターンです。つまり場合によって少し意味が広がる言葉ですが、共通しているのは行って戻るという感覚です。
行って来いは現場の感覚が詰まった言葉
「行って来い」は、辞書だけでは少し伝わりにくいですが、現場ではとてもイメージしやすい言葉です。
一度奥へ入れてから戻して納める。たったそれだけの動きを、短い一言で表しているのが面白いところです。
大工さんや職人さんの会話では、こうした動きそのものを言葉にした表現がよくあります。「行って来い」もそのひとつで、意味がわかると現場の説明がぐっと理解しやすくなります。特にリフォームや造作工事の話では出てきやすいので、覚えておくと役立つ用語です。